EY税理士法人が新卒採用をインターンシップから行う理由、その成功の秘訣とは?

今回は、会計事務所のBIG4として名高いEYグループのEY税理士法人様にお邪魔してきました!
お話を伺ったのは、人事担当をされているタレントマネージメント部の小木瑞枝様です。

EY税理士法人はEYグループの日本法人として、主に国際税務、M&Aや組織再編、移転価格に関する税務サービスなど、税務アドバイザリーや税務コンプライアンスの分野でサービスを提供し、「世界で最も魅力的な企業(The World's Most Attractive Employers 2016)」ランキングにて世界3位にランクインする企業です。学生からの人気も高そうですが、実は新卒採用に課題を感じていらっしゃいました。今では毎年インターンシップからの新卒採用を実現している同社に、どのようにインターンシップを活用し、課題を解決したのかを伺いました。

■この記事のポイント

  1. インターン募集だからこそ多様な人材からのエントリーを獲得
  2. 募集から終了まで、新卒採用ありきのインターンシップを設計
  3. コミュニケーションを活発にする社内イベントや制度の活用

1. キャリアバイトで学生からの応募窓口を一本化

ーインターンシップを導入した背景はどういったものがあったのでしょうか?

以前はリーマンショックの影響もありまして、新卒採用や、インターンシップの受入れを積極的には行なっていませんでした。しかし、会社全体で積極的に人を採用して組織をもっと大きくしようという流れに変わるにつれて、新卒採用にも力を入れていこう、それに合わせてインターン生ももっと受け入れようという要望が各部門から挙がりました。

ーどういった経緯でキャリアバイトを使い始めたのですか?

申告業務の繁忙期である1月から4月にかけて、各部門からアルバイトとして学生を数十人程採りたいという要望があがった際、キャリアバイトの担当の方に来社していただいて媒体の説明を受け、まずは試してみようと思い利用しました。

私たちが抱えていた課題の一つに、学生へ一括してリーチできているソースがないということがありました。インターン生を受け入れている部門が複数あり、その中には税理士資格勉強中の学生をターゲットにしている部門や、資格は必要ないが英語ができる学生をターゲットにしている部門があります。採用活動をする際には、それぞれの部門のターゲットとなる、狭い範囲に募集をかけ、その中でもさらに絞られた人たちにしかアプローチをかけることができずにいました。

さらに、部門ごとのインターン採用やアルバイト採用などに対して、様々なツールが混在していましたので、採用活動を効率化するためにも、一括で募集をかけることができるよう、窓口を一つにして学生にアプローチをかけたいと考えていました。

ー御社でのアルバイトとインターン生の違いは何ですか?

アルバイトの学生には、繁忙期に仕事を手伝ってもらっています。また、そこで相性が良ければ継続してきてもらうこともあります。インターン生は、基本的には本採用選考ありきの学生に来てもらって仕事をしてもらい、マッチングすれば新卒採用として内定を出し、大学卒業と同時に正社員で就業していただくようになります。アルバイトは期間限定の業務サポート、インターンは本採用プロセスの一環になります。

2. 各部門によって異なる採用ニーズに応える

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ーキャリアバイトを利用してみていかがでしたか?

幅広い学生にアプローチをかけることができることをメリットとして感じています。当法人は国内の学生の間ではあまり知名度がなく、「税理士法人」という名前が先行して税理士志望や会計を専攻している学生しか採用していないと多くの学生から思われていました。先述した通り、私たちは限られた学生にしかアプローチできずにおり、採用が思うようにできていませんでした。

ですが、キャリアバイトで応募をかけてみたところ、今まで興味を示してくれなかったような学生が応募して来てくれています。キャリアバイトで応募してくれている学生は「税理士法人」というイメージにとらわれずに応募してくる学生が多く、人材の幅が広がり、グローバルに活躍する意欲があったり、コンサルティングに関心をもったりしている学生など、欲しいと思っていた人材に出会うことができました。

ーどのくらいの応募がありましたか?

1か月ほどで一気に20〜30人の応募がありました。正直驚きました。そのおかげもあり、アルバイト枠も埋めることができ、意欲や能力の高い学生が多かったので、短期学生アルバイトだけでなく、インターン生募集の掲載も始めました。

ーどのように仕事の割り振りをしているのですか?

部門ごとにお任せする業務内容が違うため、インターン内容は一定に定めていません。インターン生も同じようなタイプはあまりおらず、例えば海外での経験を生かし、グローバルに活躍したい、と得意の語学力を活かしてくれている子もいますし、学部も様々なので、任せる仕事は適性や意向によっても異なります。

ただ、会社の説明やインターン生同士でグループワークをやってもらうような短期インターンシップではなく、初日から社員のアシスタントのような形で実務を行なってもらっています。例えば、プレゼン資料の翻訳や、レポート作成、簡単なリサーチなどといった実際の仕事をしてもらうようになっています。そうすることで、いい意味でも悪い意味でも就業イメージや職場の雰囲気を感じてもらえるのではないかと考えています。

ー人事部と現場との連携はどのように行っているのでしょうか?

部門によっては異なりますが、書類選考から部門で行うところもあります。また、面接も受け入れ部門の社員がインターン候補生とお会いしています。応募学生の得意分野に合わせて、人事から募集がない部門へ学生を推薦することもあります。現場としては、インターン生の受け入れには慣れているのでスムーズですね。

3. ターゲットとなる優秀人材の新卒採用を実現

ー非常に優秀な人材を採用できていると伺いました。採用状況はいかがですか?

キャリアバイトでの募集を開始して2年ですが、毎年数名のインターン生が正社員として入社してきてくれています。優秀な方ばかりです。複数年にわたってインターン生として就業の上入社を決めてくれた方、複数の部門でインターンを行なったうえで入社を決めてくれた方もいらっしゃいます。

また、インターン生が自分のゼミの後輩にインターン募集情報を広めてくれたり、ゼミ内での会社説明会を企画してくれたりもしています。自主的に行動してくれる学生が多く、一緒に働いている若手社員のモチベーターにもなってくれています。

4. 課題提出で学生の意欲を図る

ー新卒入社にもつながっているということで、選考フローを教えてください。

外資系ということもあり、もともと積極的な新卒採用は行なっておらず、インターンシップを通じて若干名採用しているだけで、事業会社が行なっているような表立った新卒採用は行なっていませんでした。

インターン生として勤務してもらい、そのパフォーマンスや勤務態度、筆記テストなどを多角的に見て本採用可否を決めています。インターン期間に関しては、学生のスケジュールに応じてフレキシブルに調整しています。例えば、1ヶ月間しかインターンシップに参加できないという学生であれば、週4日以上出勤してもらったり、2~3ヶ月間参加可能な学生であれば、まずは2ヶ月間週3日程度来てもらうようにしています。平均するとインターン期間は1.5ヶ月から2ヶ月で、終了前に筆記のテストを受けてもらい、一緒に働いていた社員からインターン期間中のパフォーマンスのフィードバックを集め、それら全てを加味した上で正社員としてのオファーを出すか最終判断をします。

ー多数の応募がある中で、絞り込みを行なっているのは具体的にどのフェーズですか?

書類選考で割と絞られていると感じています。TOEICは850点以上とし、応募の時に必ず日本語と英語の両方で履歴書と志望動機をまとめたカバーレターの提出を求めています。そこでの志望理由を見た上で書類選考の合格の可否を決めています。非常に重い課題だとは思うのですが、応募者のうちの30%ほどが通過します。きちんと私たちEYがどんな会社なのか調べて応募してくれているかを確認することもでき、意欲の高い学生と出会うことができているとも思います。

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実際の募集要項

5. コミュニケーションを活性化させる制度づくり

ーインターン生の入社意欲を高めるような取り組みは何かされていますか?

大きく2つあります。1つ目が、積極的にインターン生とコミュニケーションの機会を作っていることです。具体的には、カウンセラー制度やカウンセリングファミリー制度の導入、そして社内イベントへの参加を促しています。カウンセラー制度ではインターン生に初日から先輩社員をバディーとしてつけ、オフィスツアーを行なったり、チームメンバーへの紹介をしてもらったり、困った時の相談役にもなってもらっています。カウンセリングファミリー制度では、チーム内でランチやお茶など定期的に行く際にインターン生も誘ってもらい、日常の業務についての悩みや、プライベートな話などをする機会を設けています。インターン生とのコミュニケーションを積極的にとっていくことで、両者のマッチングにもつながって行くと考えています。

2つ目が、インターン生に直接アンケートを行い、次に入るインターン生にとってインターンシップをより良いものへと改善しようとしていることです。この取り組みはこれから始めようとしているものなのですが、インターン生に対してインターン期間中、当法人に対して何を思っていたのかをヒアリングすることによって、出てきた課題を解決し、より一層入社意欲を掻き立てられるようなインターンシップにしていきたいと考えています。

ー最後に、これからインターンシップの導入を考えている企業へメッセージをお願いします。

キャリアバイトでのインターンシップ採用は、これまでの新卒採用方法では出会えなかった人材との接触を可能にしてくれました。また、正社員として入社する前にすでに部門メンバーとの距離が縮まっていることも、インターン採用のメリットとして感じています。入社するまでの間も内定者インターン生として就業してもらい、その期間に開催される社内イベントにもメンバーと一緒に参加してもらうようにすれば、双方の距離をぐっと縮めることができます。まだインターン生を受け入れる体制がない場合、まずは新人を受け入れる環境を作っていくことをお勧めしたいです。私たちはこれからも、引き続きインターンシップからの新卒採用を進めていきます。

ーありがとうございました!


ー編集後記

インターン生の採用は以前からあったものの、各部門からの多様なニーズに応えることや、新卒採用率アップに向けてインターン生から生の声を聞き、次の採用・選考の際に生かそうとすることなど、インターンシップをより良く活用する取り組みを随所から感じることができました。

インターン生と社員の中を深めたり、インターン生同士の横の繋がりを作ったりするためにも、日々の食事会から、社内イベントにまでインターン生を招いて交流を図ろうとしているのは、入社意欲が高まる経験になるだろうと感じました。 EY税理士法人様のように、インターンシップから新卒入社する人材が即戦力として働くことができるような環境づくりを目指していきたい企業様には、選考方法だけでなく、社内の環境づくりの様々な面もぜひ参考にしていただきたいと思います。

著者プロフィール

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西園 諒
株式会社アイタンクジャパンで2016年10月からインターンを始める。生を受けたのは岐阜だが、大阪で育ち、福岡、栃木と転々とした。しかし、本籍は鹿児島であり、自分でも出身地がよくわからない。いま一番欲しいものはアイデンティティ。

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