残業続きの採用活動はもう限界。結果を出す人事が実践する"全員採用"のコツ

こんにちは。採用コンサルタントの井上です。
今回は社員採用で業務過多になりがちな「ひとり人事」が、社員をまき込んで採用活動をしていく考え方についてご紹介します。

1. 人事がいちばん休日出勤・残業していませんか?

多くの企業で、長時間労働は減らそうよ、売上利益目標はそのままで…ということで、企業も今までの仕事の考え方や、やり方を大きく変えることが求められています。その過渡期でもあるいま、労働市場はずっと人材不足。

その結果、ダイレクトリクルーティングやリファラル採用など、人海戦術的な採用活動も盛り上がって採用活動にかかるエネルギーもどんどん増えています。企業で残業時間を減らすことを促進するはずの人事が、毎日終電帰りで業務過多になっていませんか?

わたしは、10年前に新卒で採用担当になってからこれまで、ずっと採用の仕事をしてきました。現在はフリーランスとして、社員数100名前後の企業の採用戦略の設計や実行をお手伝いしています。

100名前後の企業の場合、採用専任の担当がひとりいればまだマシな方で、採用以外に労務も教育も、場合によっては総務や営業事務まで任されていて採用担当に専念できる人がいなかったりすることはよくあります。そのような企業で、ひとり人事の方と一緒に採用活動で試行錯誤をしてきました。

ユニークなビジネスやめざましい業績をあげるなど、企業の経営や広報にも採用活動は連動します。とはいえ、立場上「もっと○○になったら採用できると思うのでどうにかしてください」と他部署任せにもしていられないわけで。そんな、今できる範囲で成果を求められる状況で、たくましく頑張るひとり人事のあなたが、今日から少しでも取り組める採用の考え方をお伝えします。

2. 結果を出すには人事がプレイヤーとしての時間を減らすこと

採用担当が少ない場合、採用担当はプロジェクト全体の進捗管理や、メンバーや予算の管理をして、次なる打ち手を考えていくプロマネ的な役割に徹するほうがうまくいきます。しかし実態は、ひたすらメール対応に追われる人も多いです。

たとえばこの1週間で使った時間を見直した時、プロジェクトマネージャーとしての時間>プレイヤーとしての時間になっているでしょうか?もし、そうではなければ、いま抱えているタスクを以下の3つにわけて見直しをしてみてください。

  1. 自分でなければできない仕事
  2. 自分でなくてもできる仕事(教える、やり方を変えればできることも含む)
  3. 自分でない方がよい仕事

それぞれ整理できたら、「2. 自分でなくてもできる仕事」は思い切ってほかの社員、アルバイトやインターン、派遣スタッフなどに依頼して任せられるような体制をつくれるようにしましょう。面接調整や、資料の印刷など意外と時間がかかるものですが、人に任せられるタスクは意外とあります。また「3. 自分でない方がよい仕事」、たとえば業務の説明や最終的なクロージング(口説き)は、トップや他の社員が行うほうが結果につながる場合があります。

半日だけでもタスクを整理する時間をつくって、採用業務の整理をしてみませんか?少しでも仕事を減らして考える時間をつくることで、日々刻々と変わる採用の動きに応じて手を打つことができ結果の改善につながります。

3. 自分でなくてもできる仕事は目的と対応ルールを決めれば意外と手放せる

業務をわけたとき、「2 自分でなくてもできる仕事」としては、このようなタスクがあります。採用する数が多いほど1週間でも意外と細かく発生しています。

  • 事前の応募者との選考日程調整・キャンセル・変更受付
  • 選考案内送付・リマインド
  • 必要な資料の準備
  • 当日の会場設営や応募者案内
  • 出欠確認・合否結果を記録
  • 適性検査の採点や送信
  • 応募書類などの保管
  • 応募数や合格者数の定期的な数値集計

このような仕事については、個人情報の取り扱いの注意点や機密情報の保持などの約束をしっかりすれば、採用経験がなくてもインターン生やアルバイトに任せることができます。またWeb上の管理画面やメール・携帯電話でできることは、リモートワークでもできます。

教えるときには、マニュアルも聞き手に作ってもらうつもりで、目的から仕事のポイントまで口頭で説明すれば負担が少なく引き継げます。また担当が変わる時も同じ説明をする必要がありません。音声で録音してもいいでしょう。

応募者との対応を任せるときは、合格連絡など優先度をあげるものや、通常の返信は○時間以内という目安など対応のルールを決めておきます。なぜ優先するのか、遅いとどうなるのかという背景を合わせて理解してもらうことで、担当者のペースではなくタイミングを逃さず対応できるようになります。このような仕事が減るだけで、だいぶ日々の忙しさはなくなります。

4. 社員が気持ちよく採用協力できるコミュニケーションと仕組みづくり

続いて、「3. 自分でないほうがいい仕事」は引き受けすぎず、社員にお願いしましょう。マイナビが企業に対して行った企業新卒内定状況調査によると、新卒採用において採用活動に何らかの協力をした社員は全社平均で22.4名、非上場企業で平均14.8名とのことです。

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主に社員が担当している仕事で多いものは、同調査では以下のようになっています。

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参考:マイナビ新卒採用サポネット 2017年卒マイナビ企業新卒内定状況調査

社員の協力が有効なのはわかるけど、残業管理も厳しい中でこれ以上社員にお願いするのは難しいという意見もあるでしょう。でも採用活動は企業の未来につながるのはもちろん、短期的にもメリットがたくさんあります。

  • リアルな仕事の話、専門的な受け答えができて応募者からの安心、信頼が増す
  • 新しい仲間の入社が自分ごと化して現場の受け入れがスムーズになる
  • 会社や仕事の説明をして質問を受けることがプレゼンのトレーニングになる
  • 自分の会社や仕事を客観的に見つめ直すきっかけになる

ぜひ「できない」ではなく「どうしたらできるか」を一緒に考えて経営層から協力してもらいましょう。協力体制をより強くするために、採用への貢献をインセンティブ給与または評価制度に組み込む企業もあります。

社員を採用に巻き込むときは、情報共有が大切です。意外と雑になっていませんか?してほしいことを細切れで依頼するのではなく、採用活動の全体像、各プロセスの目的をわかりすく共有します。仕事で結果を出している人ほど、ゴールや目的がぼんやりしたまま動くのは気持ち悪く感じます。

また、関わっている社員にはマメに報告します。たとえば新卒の場合は内定式や入社式の写真を共有して一言お礼を伝えるなど、ささやかなコミュニケーションをおろそかにしないことが気持ちよく協力してもらえる関係づくりの基本です。

5. まとめ

ひとつでも取り入れられることはありそうですか?

ひとりの力より周りの力をうまく借りることで、人事は採用活動の質をあげるための仕事や情報をインプットできる時間が増えます。(そして少しは休めます。)抱え込まずに思い切って任せる仕組み、全社で採用する体制をつくって新しい仲間を迎える採用力をつけていきましょう。

著者プロフィール

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井上 真里
慶應大学経済学部卒。東証一部上場富裕層向け住宅メーカーに入社し1年目から採用担当となる。その後、1万名を超えるITサービス企業へ転職してこれまで採用担当者として東証一部上場企業2社で、のべ6,000名を超える応募者の選考に関わり、2,000名以上の面接を経験。2011年5月、26歳で独立。個人向けに全国の女子大学生対象に就職支援を行い過去500名以上の卒業生が、大手企業・人気ベンチャー企業に複数内定。また、採用コンサルタントとして複数の企業の社外人事として携わるほか、社外キャリアアドバイザーとして社員のキャリアカウンセリングを担当。

著書:「就活女子のための就活迷宮から抜け出すトビラ」(TAC出版)
   「敬語・マナー」(新聞ダイジェスト社)

公式ウェブサイト:http://inouemari.com/
Facebook:http://www.facebook.com/InoueMa

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